2012年5月11日金曜日

第一囘 呟きの連歌 歌仙『逢ひ見ての(From I to meet you)』の卷



第一囘

歌仙『逢ひ見ての(From I to meet you)』の卷 完成版

mixiのぶやき』で連歌
(自作の句に對する解説と推敲)


§


巴哈(バツハ(1685-1750)の有名な、

PARTITA(パルテイタ) No.2 SINFONIA(シンホニア)BWV826

です。

音源は「YAMAHA QY100」で打込みました。

映像は、

『夙川の櫻 2011年4月7日』

を撮影したものです。



 

§


第一囘

呟きの連歌

歌仙『逢ひ見ての』の卷




1句目、 逢ひ見てのひととせ待たる七夜明け 不忍

2句目、 ひたすらに弾く上弦の歌      蒼鳥

3句目、 誕生日破顔一笑ほろ酔いて     蒼鳥

4句目、 贈り忘れて白川夜船        不忍

5句目、 暁に月は殘れど間にあはず     不忍 「月の座」

6句目、 木立ちの影に水浴びる鳥      蒼鳥

7句目、 人情を灯して過ぎる屋形舟     蒼鳥

8句目、 君の爲だといふナルシスト     不忍

9句目、 田を起し御為倒せば日も暮れて   蒼鳥 

10句目、水の上行く風は爽やか       不忍

11句目、問はれたと思ふ葉音に人の影    不忍

12句目、名をつぶやいて胸のふさがる    蒼鳥

13句目、君の射す光あれ身は月に似て    不忍 

14句目、焦げめ美味しい醤油煎餅      不忍

15句目、柿の種チーズおかきと雪の宿    松叡

16句目、いづこより来し深き足跡      蒼鳥

17句目、風に乘り花の香を知る里の山    不忍 「花の座」

18句目、圏外という自由を得たり      蒼鳥

19句目、晴れた空洗濯物を溜めすぎた    松叡

20句目.衣干したり雨なかりせば      不忍

21句目、蓬莱に相合傘を探す女子      蒼鳥

22句目、手にとらばこそ絲の赤さよ     不忍

23句目、訪ね來て夢まぼろしの桃源郷    不忍

24句目、西瓜を打ちて味を占い       蒼鳥

25句目、値を問へど舌打ちさるる骨董屋   不忍

26句目、横鉢巻きで豆腐商い          蒼鳥

27句目、縁日や泣く子も黙るりんご飴       蒼鳥

28句目、殘る地頭になにを與(あた)へん    不忍

29句目、竹藪の穂先静める月明かり      蒼鳥 「月の座」

30句目、雀遊ばす餘地(よち)の廣(ひろ)さよ   不忍

31句目、膨らみの足りぬ稲穂に風抜けて    蒼鳥

32句目、湯屋の秤で糠喜びし         蒼鳥

33句目、聲なくば覗きたくなるかこち顏    不忍

34句目、北窓開けて光の舞いし        蒼鳥

35句目、ただよえば心浮き立つ沈丁花     蒼鳥 「花の座」

36句目、炎(ほむら)からまた不死鳥の飛ぶ   不忍


三十六歌仙が無事滿尾しました。


 §


 巴哈(バツハ(1685-1750)の有名な、

『造幣局の花見 BACH FUGA BWV 1000 Japanese instrum

を和樂器による演奏にしてみました。

音源は「YAMAHA QY100」で打込みました。

原曲は無伴奏ヴァイオリンソナタ1番フーガBWV 1000なんですが、

YAMAHA QY100
の「Violin」の音源に不滿がありましたから、

『和樂器』風の音で作つて見ました。

映像は、二〇一二年四月一九日に

『造幣局の花見』

を撮影したものです。

 



§


呟きの連歌 第一囘(自作の句に對する解説と推敲及び句作の手懸りの爲に)

流れが理解出來ると思ひ「つぶやき」で紹介されたコメントを、少し長いですが以下に掲載しておきます。
コメントされた方へは事後承諾になりますが、お許しください。
どうしても拒否されたい方は御申出下されば、削除します。
「第一囘目」は『つぶやき』で最初に句を發表した時のもの。
「第二囘目」は解説と推敲した時のもの。
「第三回目」は氣に入らないかも知れませんが筆者の補足です。

1、歌仙『逢ひ見ての』の解説と推敲

1句目、 逢ひ見てのひととせ待たる七夜明け 不忍
一囘目
百人一首の藤原権中納言敦忠(ふぢはらのごんちゆうなごんあつただ)の歌を面影にして、また一年逢へない焦がれる氣持を詠みました。来年こそ晴れん事を願つて。推敲はありません。二句目、蒼鳥さん宜しく。


2句目、 ただ上弦を弾きて歌わん 蒼鳥
第一囘目
今宵は上弦の月ですね。私の腕時計、故障で日にちは7のままです。もうひとつお願いを聞いてもらえそうです。(5・7・5のリズムも充分難しいですが、7・7はもっと難しいです)ケンタウロスさんの歌を台無しにしてごめんなさい。

コンドル さん。いえいえ、全く氣にする事はありませんよ。この「七七」をこのままにして、更に平句(無季)の「五七五」を附けて見て下さい。詳細は「連歌の作法」を參照しながらで……

第二囘目
推敲、どうぞよろしくお願いします。七・七のリズムとはどんなものか冗談半分で詠んでみたのですが、まさかこれが連歌になるとは思ってもいませんでした(笑)ちょうどその日の夜が上弦の月にあたり、別れの寂しさを「ただ上弦を弾きて歌わん」で詠みました。「ただ」に代わる言葉があればいいのですが、思いつきません。

コンドルさん。「ひたすらに彈く上弦の歌」とすると體言止めになりますが? 「歌わん」の「わん」に、次の「て止まり」との近さが氣になつてゐました。
なるほどぉ!体言止めのほうが強い気持ちが伝わりますね。それに「ひたすらに」が付けば、、、。すごいです。やっぱり基本、勉強します(反省)

コンドル さん。私の句でも氣がついた事があれば、どしどし批判して下さい。三句目もどうぞ。


3句目、 誕生日重なる祝いにほろ酔いて 蒼鳥
第一囘目
たけ高く大様に難しいです()質問ですが、作法のほうでは季語を入れるようにと有りますが、無季でよろしかったでしょうか。

コンドル さん。大変失禮しました。仰有る通りです。うつかりしてゐました。でも、今は餘り喧しくいふ必要はないでせう。取不敢、「三十六歌仙」を満尾させてから推敲するといふ形態をとれば馴れて行くのではないかと思ひ、それを採用してみます。

第二囘目
了解いたしました!誕生日重なる祝いにほろ酔いて 偶然にも「て止まり」になりました。誕生日にいただいたお祝いに対する感謝の気持ちと明るい雰囲気に変えた方がいいかと思い詠みました。「重なる」は「多々の」のほうがいいような気がします。

コンドルさん。「誕生日」に「祝い」は語り過ぎだと思はれます。中句を「破顏一笑」とすればどうでせう。

コンドル
なるほど!一旦思い浮かんだ言葉は離れ難いので、頭を柔らかくしないと行けませんね。誕生日破顔一笑ほろ酔いて ですね。ありがとうございました。
句と句の付き過ぎの考え方が難しいです。三句「祝い」と四句「贈り」などは問題ないのでしょうか。また、解説がないとわからないような離れ方でもいいのでしょうか。

コンドルさん。「祝い」の件を述べる心算だつたので、「贈り」をつけておきました。音樂の轉調(Modulation)と同じで、次の句は「縁」のある言葉を輕く選んで、附かず離れずを心得とするべきかと。
コンドル
ありがとうございます!附かず離れず、、、ですね。人間関係のようですね


4句目、 贈り忘れて白河夜船 不忍
第一囘目
「ほろ酔い」があるので「千鳥足」を入れてはと思ひましたが、近すぎるので止めました。プレゼントの祝いを忘れた言ひ譯です。それと「無季」の件も含めて。さて、ここで、新人の「露通」さんにこの後を受けて戴きたいのですが?

第二囘目
京都の白川に行つて來たといふ人にどんな所かと尋ねたら、夜、舟で寢てゐたから解らなかつたととぼけるやうに、贈り物を忘れた言ひ譯をしてゐる圖()なんですが、「天の川」にかけて舟を出してみました。「白河」は「白川」の變換ミスでした。贈り忘れて白川夜船 不忍


5句目、 人情を灯して過ぎる屋形見て 蒼鳥 「月の座」
第一囘目
白河夜船の続きです。無季、船続きでごめんなさい。昨夜隅田川に架かる勝とき橋に立った時の句です。

コンドルさん。五句目は「月の座」です。殘念ながらやり直しです。そこで僭越ながらわたくしが詠みます。兩吟(二人)の場合、交互にすると「五七五」か「七七」だけになるので、時に二句づつになります。

コンドル さん。全然氣にする事はありません。普通の季はうるさくする事はありませんが、「月の座」と「花の座」は確保しておきませう。

第二囘目
朝になつて月は殘つてゐるけれど最早日は代つてしまつて、今更お祝ひを述べても手遲れだといふ氣持を、月見を寢過ごしてしまつた無念さにたとへて見ました。暁に月は殘れど間にあはず 不忍 「月の座」


6句目、 木立の影に砂浴びる鳥 蒼鳥
第一囘目
おはようございます。時間を真っ昼間にしましたが、繋がりがこれでいいのか全く自信ありません。アドバイスお願いいたします。先日公園で目にした事を詠みました。

第二囘目
コンドル
ここで本当は七句目の「人情・・」と入れたのですが、月の座ということで入れかえでケンタウロスさんにおまかせし、続いて「木立の影に砂浴びる鳥」で、昼間で動きのある図を詠みましたが、アドバイスで砂水になりました。公園の雀は砂で体の寄生虫を取っていたようですが、次の句を考えるとやっぱり水でよかったですね。
コンドルさん。「雀は砂で体の寄生虫を取」るといふのは知りませんでした。知識の不足がなければその儘でもつとよい方法があつたのかも知れません。力不足でした。


7句目、 人情を灯して過ぎる屋形舟 蒼鳥
第一囘目
コンドルさん。下七句を「水浴びる鳥」として、初折の「折端」となり裏移りとします。「初裏」は、以前の「月の座」に詠んだ「人情を灯して過ぎる屋形見て 蒼鳥」を活用して、下五句を「屋形舟」とすればどうでせう。それを受けて。

第二囘目
コンドル
すみません、私も詠んだ時の解説が不十分でした。「人情を灯して過ぎる屋形見て」をアドバイスで「屋方舟」にしました。今気が付きましたが、これは「て止まり」になるからでしょうか。東京の隅田川に架かる橋から見た屋方舟の灯りに温かいものを感じて詠みました。五句目の月の座からの移動の句です。

コンドルさん。この七句目の場合は三句を去つてゐるので「て止まり」でも構ひません。五句目の時は無理だつたのですが。「て止まり」の方が良ければその變り十句目の「暮れて」を考へ直さなければならなくなりますが。人情を灯して過ぎる屋形見て 蒼鳥

コンドル
すいません、勉強不足で三句去りの意味があまり分かっていませんでした。十句目はそのままのほうがいいかなと思いますので「屋形舟」で。人情を灯して過ぎる屋形舟 蒼鳥

コンドルさん。諒解(りやうかい)しました。その方がいいと私も思ひます。


8句目、人の爲だといふナルシスト 不忍
2囘目
八句目の「人の」が一般論的に過ぎてつき放したやうになるので、「君の」に推敲します。前の句の「人情を」の「人」とも近いのが気になりますから。君の爲だといふナルシスト 不忍


9、 田を起し御為倒せば日も暮れて 蒼鳥 
第一囘目
屋形船を採用していただいてありがとうございました。こんな冗談のような句でもいいのでしょうか。

コンドルさん。「冗談」は大丈夫ですよ。「可笑し味」は發句の重要な要素(フアクタア)ですから……。

コンドル
九句目、登山に例えると2~3号目でしょうか。少しお笑いも欲しくて、人()の為御為倒しを入れ、起こすと倒すを対比させて詠みました。怒られるかなと思いました。

第二囘目
コンドルさん。全く問題はありません。「御為倒し」の「倒し」は「ごかし」と讀みますが、「御爲」とは辭書で「貴方の爲」以外に「褒美又はそのお返し」とありましたので、三句目の「祝い」と呼び合ふ「輪廻」の心配もしましたが、「裏移り」ですので氣にはならないでせう。

ケンタウロスさん、お疲れ様です。甦らせていただきありがとございます!「裏移り」だから大丈夫、、、この辺りはさすがケンタウロスさんですね~。推敲ではこういうところの勉強もでき助かります。ゆっくりおやすみくださいね!


10句目、水の上行く風は爽やか 不忍
第二囘目
泉に映る自分に戀ひ焦がれて、つひに水仙(ナルキツソス)になつてしまつたやうに、人の爲だといふ自分が好きな心は、あつさりとその上を行く爽やかな風を見習はうと詠んで見ました。聊(いささ)か説教くさい?

松丸 ブディウトモ
ふむふむ。風のごとく只今洗濯中。自分が好きならばそれで良いのではわしゃ無力な自分自身を許せない16年間でした。苦しかった。今は少し虚しさが残ります。これが供養か。

松丸 ブディウトモさん。簡單に「人間萬事塞翁が馬」なんて云へないかも知れませんが、無力な言葉でもそれぐらゐしか傳へようがありません。


11句目、問はれたと思ふ葉音に人の影 不忍
第二囘目
誰かに問ひかけられたと思つて振返つたら風に搖れた葉音だつたと思つたが、よく見ると葉を搖るがした人影が見えたので、錯覺ではなかつたと確信した。
誰に見つめられてゐたのか、戀の豫感!


12句目、戀しき声は胸吹きすぎて 蒼鳥
第一囘目
コンドルさん。戀しき声は胸吹きすぎて 蒼鳥 「て止まり・らん止まり」は多用しないこと。上七句
「名をつぶやいて」とし、「胸」の後を「のふさがる」
と提案します。直接的な表現を避けたほうがいいと思ひます。拙著の『發句雜記』現在十七作までありますが、面倒でも讀んで下さい。

12、名をつぶやいて胸のふさがる 蒼鳥 ですね やっぱり基礎は大事ですね。發句雜記にて勉強させていただきます。アドバイス、ありがとうございました!

第二囘目
12、戀しき声は胸吹きすぎて から「て止まり・らん止まり」の使い方と直接的な表現を避けたほうがいいというアドバイスを受けて 名をつぶやいて胸のふさがる になりました。戀の句をさらりと詠むにはまだまだ時間がかかりそうです(笑)

コンドル さん。乙女心は無粹な私には解らう筈もありません。


13句目、君の射す光あれ身は月に似て 不忍 
第二囘目
ここは外す事の出來ない「月の座」で、私は月だから太陽である貴方の光がなければ輝く事は出來ないのですと訴へた譯です。「おゝ(感歎詞)・ソオレ(太陽)・ミオ(私の)

コンドル
ケンタウロスさんに泣かされた女性の数いくばくぞ(笑)いやいや、月の座にふさわしくとても綺麗で素敵な句です。


14句目、焦げめ美味しい醤油煎餅 不忍
第二囘目
思ひ人からあまりに慕はれて燒きもちで束縛されると暑苦しくて自由が欲しくなるが、醤油煎餅は文句も言はずに食べる人の爲に美味しい焦げ目に身を任せてゐる。

「文句の言はずに」の「の」は「文句も言はずに」の「も」の間違ひでした。訂正します。

コンドル
ああ、そういうことだったんですね!月醤油煎餅かなぁ、、、と思っておりましたが、なるほど、なるほど。


15句目、柿の種チーズおかきと雪の宿 松叡(柿の種 チーズおかきで 風が吹く)
第一囘目
連歌は難しいですね。うーむ。ルールがさっぱりわからんぜよ
柿の種チーズおかきと雪の宿 松丸


15、では、柿の種 チーズおかきで 風が吹く 松叡
福島県に「風が吹く」という日本酒があるそうですが、今回買いそびれました。

第二囘目
この句、始めは「柿の種チーズおかきと雪の宿」で詩情と滑稽が混在して、今考へますとこちらも捨て難いやうな氣がします。撰者の失敗(ミス)だつたかも知れません。とは云へ十六句目の関係上この儘とします。松叡さん。御免なさい。

松丸 ブディウトモ
風が吹けばそれで良いのですよ。アハハ

松丸 ブディウトモさん。池田の牛がイタミ入ります。

松丸 ブディウトモ
なにそれ~ダジャレ大阪空港ネタかよ~。この時期風は弱くボンバルディアも揺れませんね


16句目、いづこより来し蚊やりの匂い 蒼鳥
第一囘目
松丸 ブディウトモさん、いらっしゃいませ、いらっしゃいませ、もっといらっしゃいませ!今後ともどうぞよろしくお願いします!煎餅おかき、風香りで。

第二囘目
コンドルさん。提案があります。下七句を「深き足跡」とするのはどうでせう。さうすれば十五句目の下五句の「雪の宿」が生き返るのですが?

コンドル 
十五~十七句目は句の中で風が吹いているので、十五句目は「雪の宿」のほうがいいなと思います。十六句目は いづこより来し深き足跡 で了解です。

コンドルさん。早速の諒解(りやうかい)を有難う御座います。到らぬ捌き振りで恐れ入ります。

松丸 ブディウトモさん。コンドルさんの諒解も得られましたので、15句目は 柿の種チーズおかきと雪の宿 松叡 となりました。事後承諾ですが御了承下さい。


17句目、風に乘り花の香を知る里の山 不忍 「花の座」
第一囘目
15句目「柿の種チーズおかきと雪の宿 松叡」ときて
16句目「いづこより来し深き足跡 蒼鳥」となり、
十五句目に「柿の種 チーズおかきで 風が吹く 松叡」、十六句目に「いづこより来し蚊やりの匂い 蒼鳥」次の十七句目は「花の座」です。風に乘り花の香を知る里の山 不忍 連歌の作法
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=50587596&comm_id=4637715

第二囘目
何處かの山ではもう梅が咲いてゐるのか、風に乘つてかすかに匂つて春を傳へに來たやうだと詠んでみました。


18句目、圏外という自由を得たり 蒼鳥
第一囘目
ネコパンチさんの麦酒を入れたかったのですが、力不足でごめんなさい。田舎に行って携帯が圏外になった時の気持ちです。

第二囘目
18句目「圏外という自由を得たり 蒼鳥」以前旅行した時、携帯に「圏外」と表示が出た瞬間、心を締め付けていた糸がぷつっと切れたように感じたことがあったので、「圏外」の表示が出そうな里の山のイメージから詠みました。

コンドルさん。これは「つけもつけたり」と言つたところです。出來の良い作品は「附け合ひ」の醍醐味を教へてくれるものだといふ好見本だと言へるでせう。


19句目、晴れた空洗濯物を溜めすぎた 松叡
第一囘目
圏外という自由を得たり 蒼鳥 これを受けて松丸 ブディウトモさん「五七五」をお願ひします。所で「連歌の作法」讀んで戴けました。

連歌を創作するのに便利な控帳(メモ)を作つて見ました。これを複製(コピイ)して句作すれば便利かと思ひます。『歌仙の創作控帳』
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=63731304&comm_id=4637715

はあい、読みましたがやはり難しい。

自由も過ぎるとといふ所でせうか。これで三人の「膝送り」といふ形が整ひました。下五句の最後「た」を「て」としては?

第二囘目
「蛆がわ」かないやうに奮闘してゐる「男寡(をとこやもめ)」の生活感を、青空にひるがへる洗濯物の種類に見られ、干し切れずに殘つてゐる樣も想像出來て、悲しくも微笑ましくなります。

コンドル
宇治川を上がるとカヌーの練習の方をよく見かける瀬田川に、、、。ケンタウロスさん、すごい。恐れ入りました。

コンドル さん。なんだか良くわかりません。

コンドル
蛆がわ宇治川カヌーの連想をして感動したのですが そう言う事じゃなかったのですね

コンドル さんの想像力に完~敗(乾杯)

第三囘目
單身赴任で妻や子供から自由を得たつもりだが、それと引換に食事・洗濯・掃除といふ不自由を味はつてしまつた圖()といふところでせうか。


20句目.衣干したり雨なかりせば 不忍
第一囘目
持統天皇のパクリです。次は蒼鳥女史ですよ。

第二囘目
阿部中麻呂(698-770)の歌を借用して、幾日かは雨が降らない事を願ひつつ輕く受け流しました。


21句目、傘売り場相合傘と探す女子 蒼鳥
第一囘目
傘売り場相合傘と探す女子 蒼鳥 売ってる訳ない相合傘を探す蒼鳥、初々しい女子の気分で詠みました。こんなのはだめでしょうか

コンドルさん。全然ダメぢやありません。良い感性をしてゐると思ひます。「傘」と「傘」がぶつかるのが氣になります、上句を「蓬莱に」と大きく詠んで、中句の「と」は「を」にしては?

蓬莱に相合傘を探す女子 ですね。ありがとうございます!「蓬莱」の意味を調べたのですが、この場合どういう意味になるのか分からないので教えていただけますでしょうか。551じゃないことは分かるのですが

コンドルさん。徐福が不老不死の藥を求めて蓬莱に來ました。一説に今の富士山の事だといはれてゐます。かぐや姫が求婚を避けるのに難題を出し、三國を探させます。日本中を探すといふ意味で「蓬莱」としました。因みにかぐや姫が去つた後、空しさの餘り不老不死の藥を燃やしたので「不死山」となつたとも言はれてゐます。

松丸 ブディウトモさん。蓬莱に相合傘を探す女子 蒼鳥 これを受けて「七七」をお願ひします。今の所「蒼鳥女史・松叡さん・不忍」といふ順番です。それと無理にとは言ひませんが、短歌・發句は歴史的假名遣で表記して戴ければ嬉しいのですが……。

人間活動というか婚活に忙しく、しばらく連歌を休みます〜。グーテナハト。

第二囘目
コンドル
21句目は恋の句です。蓬莱に相合傘を探す女子 初めは「蓬莱」「傘売り場」だったのですが、傘が重なるということで「蓬莱」というぴったりの言葉を見つけていただきました。次に降る雨に間に合うよう必死に探して回る初々しい女子をイメージして詠んでみました。こんな初々しさは二十世紀に置いてきてしまいました。

コンドルさん。この句の「蓬莱」は日本中を探すと大袈裟にする爲に提案しましたが、氣に入つていただけて、胸をなでおろしました。


22句目、手にとらばこそ絲の赤さよ 不忍
第一囘目
グウテンモルゲンからグウテンタアクになつて仕舞ひました。蒼鳥女史からの続きです。

第二囘目
運命の人は「赤い糸」で結ばれてゐるといふ都市傳説()を利用して、芭蕉の句「手にとらば消えん涙ぞあつき秋の霜」を面影に、髪に霜をおく前に若い内に戀をしないさいと、これまた説教くさいお話。

松丸 ブディウトモ
恋に疲れてきたので入籍します。ニャンニャン

ケンタウロス
松丸 ブディウトモ さん。それはお芽出たう御座います。嬉しさを表してゐるのが良く解ります、「ニャンニャン」ツて!

コンドル
おめでとうございます!!松丸 ブディウトモ さんの新しい門出に乾杯 そうかぁ、相合傘は高知にあったんですね!お幸せに・・・・

松丸 ブディウトモ
まだ正式ではないですが、相手はおります。あとはタイミングの問題~。善は急げ。

松丸 ブディウトモさん。鶴龜鶴龜!


23句目、訪ね來て夢まぼろしの桃源郷 不忍
第二囘目
蓬莱(日本)中を捜し廻つたが見つからないので、中國の「桃源郷」を目指す。それは陶淵明(365-427)の「桃花源記」にある理想郷(ユウトピア・Utopia)の事で、世界は昔「三國」しかなく、三國一の花嫁を貰ふといふのが理想です。
三國とは「日本・唐土(中國)・天竺(印度)」の事。ここで見つからなければまだ「天竺」がある。


24句目、西瓜を打ちて味を占い 蒼鳥
第一囘目
グウタラコンドルになって仕舞いました(笑)

第二囘目
コンドル
と、夢と希望を抱いておられるところにわたしが24句目、西瓜を打ちて味を占い なんて詠んだから穏やかじゃなかったんですね 失礼いたしました。桃西瓜という書き込むのもお恥ずかしすぎるくらいの連想だったんです。お許しくださいませ。

コンドル さん。なんの! そこにこそ連歌の醍醐味があるといふものです。

25句目、購(あがな)へど舌打ちさるる骨董屋 不忍
第一囘目
どうしても欲しいのに、「ウラナイ」だと! 次は「七七」と「五七五」の二句を續けて下さい。

第二囘目
ここは當初のコメントと同じで、どうしても欲しいのに、骨董屋は何が氣に入らないのか「ウラナイ」といふと洒落たのですが、意味からして上五句を「値を問へど」と改めます。値を問へど舌打ちさるる骨董屋 不忍

コンドル
ああ、そうかぁ、占い売らないだったんだ!こんな面白い流れになっていたとは、、、。


26句目、豆絞り巻く豆腐売りあり 蒼鳥
第一囘目
26、ケンタウロスさんのは25句目でしょうか。

コンドル さん。さうでした。「25句目で」した。粗忽屋ケンタウロスです。「豆絞り巻く」をもうヒト捻り! 「縁日や」は御機嫌です。絞り染め

なんだか祭りに来て迷子になった様な気分です 自信ありません

第二囘目
骨董屋には大概豆絞りの手ぬぐいが置いてあるので、そこから豆を絞って出来る豆腐に言葉を足して26句目、豆絞り巻く豆腐売りあり と詠みました。う~ん、もうひと捻り、、できませんでした。

コンドルさん。上七句を「横鉢巻きで」とし、「売りあり」を「商ひ」とすればいかが?

コンドル
あ、威勢が出ていいですね!横鉢巻きで豆腐商い


27句目、縁日で泣く子も黙るりんご飴 蒼鳥
第二囘目
27句目、縁日や泣く子も黙るりんご飴 これは自分でもちょっと気に行っています。豆絞りはお祭りでよく使われることから詠みました。「縁」でケンタウロスさんのご機嫌もとれました(笑)

コンドルさん。十八句目と二十一句目ともども、「附け合ひ」の呼吸が拔群です。私の機嫌は「連歌」が出來たといふだけで羽化登仙の氣分です。

2011・8・13
コンドルさん。けふ、第一囘『呟きの連歌』を確認の爲に讀んでゐたら、「27句目、縁日で泣く子も黙るりんご飴 蒼鳥」の句。平句なので切字の「や」を「で」に換へなければならない事に氣がつきました。なんてこツたい!


28句目、殘る地頭になにを與(あた)へん 不忍
第一囘目
次の29句目は「月の座」です。思ひのたけをどうぞ。「豆絞り巻く」の句は無理に變へなくても構ひません。

第二囘目
「泣く子」「と地頭には勝てぬ」を捩(もぢ)つてみました。説明の必要はないでせう。


29句目、竹藪の穂先静める月明かり 蒼鳥 「月の座」
第一囘目
遅くなりすみませんでした。思いの竹を詠みました

コンドルさん。ステキで詩的ですね。

第二囘目
29句目は月の座 竹藪の穂先静める月明かり 地下茎を延ばして明け方に頭を出す、地・頭()お目出度い常盤木でもある竹で思いの竹を詠みました()

コンドルさん。梅に鶯、松に鶴、朝吉いふたら清二がつきもん「惡名()」竹と言へば雀。


30句目、雀遊ばす餘地(よち)(ひろ)くして 不忍
第一囘目
「風抜けて」と「て」が繋がつて仲が良過ぎるので、「餘地(よち)の廣(ひろ)さよ」と變へました。

この後同じく「五七五」「七七」の二句を續けて下さい

気が回らず申し訳ありませんでした。

第二囘目
その竹藪の一角に光の射す場所があつて、そこで小鳥が遊んでゐる。自然の共生が見られる景色。


31句目、膨らみの足りぬ稲穂に風抜けて 蒼鳥 
第二囘目
コンドル
「悪名」を知らずに生まれて来ました 稲穂に集る雀で31句目、膨らみの足りぬ稲穂に風抜けて さらりと詠みました。

コンドル さん。そのままそのまま。


32句目、湯屋の秤で糠喜びし 蒼鳥
第一囘目
あと少しですね!自分の句を考えることで精いっぱいで、前後のつながりを考える余裕なくてすみません

第二囘目
コンドル
膨らみが増したら体重は増加し、米糠の連想も入れて、32句目、湯屋の秤で糠喜びし 私の行く温泉の秤はいつも控え目なんです()

痩せるのは女性の願望? それを○○するのは男の……。


33句目、聲なくば覗きたくなるかこち顏 不忍
第一囘目
33句目、聲なくば覗きたくなるかこち顏 不忍 初案は「チョイチョイトと覗きたくなる女風呂」でしたが、生々しすぎるので沒。「名殘りの裏」に移りましたね。「七七」と「五七五」の二句を續けて下さい。

女風呂覗きはハツに悪うございます ケンタウロスさん、

第二囘目
西行法師(1118-1190)の「歎けとて」の歌を借りて、「出齒龜」を詠んだのは不遜であつたかも知れません。

第三囘目
上五句の「聲なくば」は、咎められる聲がなかつたら、覗きが成就されてゐたのに殘念だといふ意味で、それゆゑにこその「かこち顏」だつた譯で、覗きは未遂だつたのでご安心を!


34句目、北窓開けて埃の舞いし 蒼鳥
第二囘目
コンドル
34句目、北窓開けて埃の舞いし 
実は33句目の覗くから、鶴の恩返しのラストが思い浮かんだのですが、もし詠んでいたら龜、鶴だったんですね(笑)
挙げ句に向けて爽やかさを!と思い冬の間閉め切っていた窓を開けて早春の風を入れたら埃も浮き浮き舞っているという図を詠みました。

ケンタウロス
コンドルさん。掃除を怠つてはいけません! 「埃」を「光」にされてはどうでせうか。

コンドル
埃、ちょっと素直に詠み過ぎてしまいました 光がきらきら舞うほうが綺麗ですね!了解いたしました!34句目、北窓開けて光の舞いし 

コンドルさん。34句目納得戴き恐れ入ります。



35句目、香りせば心浮き立つ沈丁花 蒼鳥 「花の座」
第一囘目
挙句よろしくお願いします!!

第二囘目
コンドル
35句目は花の座です。香りせば心浮き立つ沈丁花 
個人的に沈丁花の香りが好きで、早春の風に運ばれて来る春の便りに浮き浮きするという気持ちを詠みました。初めての連歌を最後まで詠むことが出来た!!という興奮の気持が詠ませたのかもしれません

コンドルさん。「浮」と「沈」の對比を考へられたのでせうか。ただ「香りせば」は語り過ぎで、上五句は控へ目に「ただよひて」とすればどうでせうか。何がただよふのかと考へさせるのも讀者へのサアビスではないかと。

35句目、ただよいて心浮き立つジンチョウゲ 浮と沈の対比は考えておりませんでした。確かに沈むでは、、、と思いましたのでカタカナにしましがいかがでしょうか。

35句目そこまでしなくても、詰り片仮名にしなくても問題は解決されるので構はないと思ひます。そのまま漢字でにしておきませんか。

コンドル
了解しました!35句目、ただよえば心浮き立つ沈丁花 でお願いします。


36句目、炎(ほむら)からまた不死鳥の飛ぶ 不忍
第一囘目
コンドルさん、お疲れ樣でした。これから二人で相談しながら推敲をしませう。


第二囘目
(あへ)て言へば「沈丁花」に「沈」む氣分が感じられましたので、「擧句」は芽出度く、炎から再生する不死鳥で纏めてみました。以上始めてにしては結構な按配だつたと滿足してゐます。

コンドル
ケンタウロスさん、松丸 ブディウトモさん、お疲れさまでした。沢山のアドバイスに感謝いたします!挙げ句、さすが、さすがです!!



§



『つぶやき』で連歌を終へて


こんにち一般に連歌の興行が世間で行はれない理由を、

その十九、連歌の作法(流行(はや)り廢(すた)り事情とその所要時間に就いて)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=56488160&comm_id=4637715

 でかなり詳細に述べたつもりですが、それらを解消する手段として世界通信網(インタアネツト)の活用がある事に氣づき、それを實踐(じつせん)したのが今囘の、

   『第一囘 mixiの「つぶやき」を利用した連歌』
   http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=63731476&comm_id=4637715

でした。
これで座を開催すれば、時間を割いて遠方から集まるといふ事も、滯在する時間や飲食に關する心配も一氣に解決される事になる譯です。


 かくして「朝・晝・夕」の食事も、十時と三時の珈琲タイムも自前で用意しなければなりませんでしたが、『歌仙三十六句』を無事に滿尾する事が出來、その成果は、

俳諧師:近江不忍(あふみのしのばず)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=4637715

 に發表された通りであります。
けれども、なにせ始めての事でもありますから、行き屆かぬ部分も目についたかと思はれます。


 座を開催中にも申し述べましたやうに、

   『今は餘り喧しくいふ必要はないでせう。
取不敢、「三十六歌仙」を満尾させてから推敲する、
といふ形態をとれば馴れて行くのではないかと思ひ、
それを採用してみます。』

 といふ事でしたので、これから推敲をすすめたいと思ひますが、それに當りましては、コンドルさんこと「蒼鳥女史」とともに手掛けたいと考へてゐます。


とは言ひましても、推敲といふ作業は隨分と厄介で神經質な部分もありますから、今囘は無難な所で、自分の句を自分で解釋して披露するといふ方法を採用したいと思ひます。
 その効用は次のやうな事が考へられるのではないでせうか。
 自分はかういふ意味で詠んだのだけれど、讀者からは思ひもよらない解釋をされて面食らふ事があつたりするからで、それは幅が廣い句の姿なのだから、それはそれで良いのではないかといふ意見もあらうかと思はれますが、筆者はその考へに與(くみ)しません。
 曖昧な表現は避けるべきだと考へるからで、それは含みを殘すといふ事と同じではない筈です。

 
 その例として、芭蕉の弟子に向井去来(1651-1704)といふ人がをりまして、その彼の句に、

   岩鼻やここにもひとり月の客

 といふ作品がありますが、去来は初案を、

岩鼻やここにもひとり月の猿

 といふ句を考へてゐました。
名月を鑑賞する爲に良い場所を探して岩鼻を登ると、そこに先客がゐたという意味で作つたさうです。


ところが、師である松尾芭蕉(1644-1694)は、

「岩鼻にゐる先客に對して、ここにも私が月の客としてゐるぞ」

という名乘りを上げる意味の方がよいと言つたさうであります。
去来と芭蕉の解釋でさへかくも違ふのです。
(いはん)や未熟者の我々においてをや、なのであるのは言ふまでもありません。


そこで自説と他説との差を埋めるべく推敲するのも、句作の修行になるのではないかと考へた次第であります。
今囘、コンドルさんからの申し出もあり、このやうな形でいきなり連歌を始めた譯で、けがの功名ではあるかも知れませんが、これがこれからの連歌の發展の範となるならば、こんなに嬉しい事はありません。
コンドルさんには感謝すること頻りであります。



二〇一一年七月十九日午後八時四十五分


因みに、「岩鼻の」句に對して筆者は芭蕉の説は、奇を衒(てら)ひ過ぎて良くないと考へます。


§



最後にこの連歌の切掛けともなつた發句友達の「コンドル」さんこと蒼鳥女史の一文で締括りたいと思ひます。

すみません、今回の連歌、本当にいきなり始まりましたね。

連歌の知識はほぼゼロに近く、食事の最中も指を折って字数に合う言葉を探して
必死に埋め合わせていたという感じでしたので、ケンタウロスさんには「共に詠むに足らず」
だったことと思います。

詠みながら感じたことは、発句を詠むことと連歌を詠んでいくことはまた違う作業のような 気がしました。
連歌は相手の方の句の中の気持ちもイメージしないといけないという点で難しいですが、
気持ちのやり取りができるところまで上達すれば面白いのでしょうね。
今回は本当に必死で、三十五句目詠んだ時は、富士山の山頂に立ったような気分でした

これからは発句の基本も勉強して、前後、全体の流れを読みながらゆとりのある句が
作れたらと思います。

今回このような機会を与えてくださったケンタウロスさんには心から感謝しております


コンドルさん。『連歌』は、讀む時の心得と句作の心得とを同時に味はふ事の出來る貴重な道具(アイテム)だと考へます。
鑑賞眼と獨り善がりにならない創作の技法(メソツド)の兩方を手にする事の出來る『連歌』は、自己の研鑽の場としてとても有効なものだと思ひます。
これに懲りずに、これからも樂しんで行きたいものです。

二〇一一年七月二十日午後六時四十五分 店にて




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